QOL向上記

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MMSEの歴史、そしてMMSE-Jの違い

MMSE(Mini Mental State Examination)は認知症などの認知障害を調べるために用いられる有名な検査です。

 

MMSEの歴史に興味をもつなんて人は自分だけかもしれないが、以下にその簡単な歴史を記したいと思います。

 

MMSEは認知症の診断のために、フォルスタイン夫妻及びポール・マックヒューの3名の精神科医によって1975年のPergamon Press出版のJournal of Psychiatric Researchにおける付録として初めて出版され、当初のMMSEの著作権は上記の3人のもとにありました。

その後2000年にはMMSEの著作権は米国著作権局のMiniMental社に譲渡されました。翌年2001年にはMiniMental社はMMSEの出版、ライセンス及び全ての知的財産をPsychological Assessment Resources(PAR)社に譲渡しました。

一方、当時から多くの「フリーの」MMSEをインターネットから手に入れることができたのですが、PAR社は公式のMMSEは著作権法に則らねばならないと主張しました。なおPAR社がその権利を主張した段階で既にMMSEは広く普及していたため、PAR社の主張を否定した法律家もいたようです。

※Pergamon Press社はElsevier社(The Lancetで有名)に合併されています

 

実際に現在もネットをすれば簡単にフリーのMMSEを見つけることができます。

しかしオフィシャルのMMSEの日本版として、MMSE-Jを日本文化科学社が出版しています。

臨床現場で単に診断目的のみで用いる場合には、MMSEを利用すれば十分であると考えられます。

それではわざわざ金を払ってMMSE-Jを利用する必要など無いのではないかと考えられますが、実はそうではないようです。
なぜならば、MMSE-Jは論文や学会発表で重要であるからです。

論文等の「方法」でどのような検査を用いたのかを示すところで、正式であるMMSE-Jを用いていないということであれば、その論文もしくは学会発表には難があるとされてしまうからのようです。