化学物質による事故におけるERでの対応
CDCのサイトで化学外傷に対する対応が書いてあったので、軽くまとめてみたいと思います。
化学物質による事故におけるERでの対応
準備段階
1.化学物質の同定に努める。
2.PPE、洗浄物質、解毒剤の準備をする。
3.本当に化学物質による事故なのか?
Yesならば
→・PPEの装着
・ホットラインの設定
4.汚染される可能性のある場所の整理、安全確保をする。
5.病院のエントランスと地面の安全確保をする。
6.必要であれば、緊急対応の当局に連絡する。
7.もし化学物質が軍事関係であり、軍に情報が渡ってなかったら、連絡する。
8.もし有機リン系が示唆されるのであれば、病院薬剤部に対して大量のアトロピン及びPAMが必要になる可能性があることを連絡する。
患者到着後
9.実際に化学事故はあったのか?
・曝露期間の確認
・患者の皮膚、衣服に付着した液体の確認
・患者、救急隊、関係者の症状の確認
・臭い
・M-8 pape(化学物質同定試験紙のようなもの)があれば利用する。
あったならば、
10.PPEを装着するまで患者を外で待機させる。
11.もしも患者が広範囲に汚染されている、もしくはその疑いがあるならば、室内に入れる前に除染する。
初期対応及び化学物質の同定
1.気道を確認する。
2.呼吸がなければ人工呼吸を開始する。
3.出血が認められれば、止血を試みる。
4.コリンエステラーゼ関連の中毒なのかを判断する。
・Pinpoint pupils
・呼吸困難
・局所or全身の発汗
・線維束性収縮
・多量の分泌物
・嘔気、嘔吐、下痢
・痙攣
・昏睡
→Yesならば、神経物質プロトコルへ
5.塩素中毒のヒストリーがあれば、塩素プロトコルへ
6.数分以内にできた熱傷なのか?
Yes→7.へ
No→8.へ
7.高温熱傷なのか
Yes→9.へ
No→ルイサイト(有機ヒ素化合物)プロトコルへ
8.曝露2-12時間後の熱傷or眼刺激症状か?
9.ホスゲンに曝露された可能性はあるか?
・ホスゲンへの曝露
・高温の塩水化化合物への曝露
・曝露数時間後の呼吸の違和感
10.他の化学物質への曝露の可能性を検討
・頭部外傷無しの意識レベルの低下
・衣服、呼吸の異臭
・特徴的な徴候
ざっとCDCが示しているのはこのような感じです。
具体的な各プロトコルについては元気があれば他の記事で書こうと思います。
参考文献: